●動物の睡眠時間 同種の動物であっても個々の生活環境、年齢、性別、健康状態の相違もあるので睡眠量にも差ができるが一般的には家で飼われている動物の睡眠時間は長く、同種の動物でも野生のものの睡眠時間は短い。 研究者の報告がある。 表1 動物の1日当りの推定睡眠量Meddis,R,"Sleep Instinct" R.K.paul,London (1977) (睡眠 井上 昌次郎著 化学同人より)
一般に草食動物の睡眠時間は短く、肉食動物の睡眠時間は長い。肉は高タンパク、高カロリーであるが、草は低カロリーなので多量の草を採らなければならないことから採食時間も長い。飼育されている放牧中の馬でも睡眠時間の2倍以上の時間を採食に費やしている。牛は食物を吸収している間に採食し、休息中に反芻し消化している。 さらに、草食動物は肉食動物の捕食の対象となることが多いので、身を守るために絶えず警戒していなければならないことから睡眠は浅く時間も短い。 生物学的な諸々の要因によって、睡眠が生存に不利益なある種の動物はほとんど睡眠をしないとの報告がある。 動物によって睡眠時の特徴がみられる。その基本的なパターンは長い不活動期、反応の低下、安全な場所の選択、特有の姿勢、1日中でほぼ同じような時刻に眠るなどであるが、高振幅徐波(ノンレム睡眠)、レム睡眠については霊長類、哺乳類、鳥類と爬虫類、両生類、魚類、軟体動物、昆虫とでは相違がある。 表2 睡眠時の特徴とその分布(Meddis. 1977)
魚類・両生類などは休息はしていてもノンレム睡眠・レム睡眠はないし、下等爬虫類ではノンレム睡眠だけである。高等爬虫類、鳥類ではノンレム睡眠とごく部分的、一時的にレム睡眠がある。哺乳類では完全なノンレム・レム睡眠があるし、その中でも人(ホモサピエンス)が最も完成した睡眠サイクルを持つ動物である。 |