第10回 香枕(匂い枕)
香は538年頃の仏教渡来の時に仏式具として入ったことと思われるが、記録としては日本書紀にある推古天皇3年(595年)4月に 「沈水淡路島に漂着」とある最古のものといわれている 香枕はいつの時代からなのか定かでないが、桃山時代の香枕(サントリー美術館)などがあり、歴史は古いものと思われる。江戸時代ともなると徳川美術館を始め各所に数々の当時の名品が残っている。 この時代の香枕の多くは箱形の中に香炉を入れ香枕の上に髪をのせ香をたき込めて使用された。杏には媚薬効果があるとされて、沈香(沈水)、ビヤクダン、甘松香、安息香、ジャコウ、リュウゼンコウ、丁字、桂皮、乳香、バラなどいろいろな香料が単独或いは調合されて使用された。 生薬枕との区別は難しいところであるが、この部分で香りを楽しむいうことで集約した。
枕香炉(匂枕) 徳川美術館 奥道具の華源氏物語絵巻と初音の調度(NHK名古屋編より)