【箱 枕】 くくり小枕の材質では枕側は絹、綿が主で数は少ないが革製もある。中材の詰め物ではもみがら、ソバがら、もみがらとソバがらを混合したものが多く、次いで茶葉、パンヤ、小豆、カイメン、紙、毛くずなどいろいろなものがある。 箱枕は安永5年(1776年)正月刊「艶本珠手箱」(北尾重政画)に画かれていることから前年の安永4年(1775年)には少数ながら使用されていたと言われている。 この頃の箱につけられた“くくり小枕”は平らな形が多い。 天明3年(1783年)の書では箱枕は他の従来の枕と共に一般的な枕として画かれており、天明5年(1785年)「会本色好之人式」(勝川春章画)では船底型の箱枕や横引出の箱枕が画かれている。 これらの箱枕の流行は花柳界から始り、時間を経て一般に普及したものと思われる。 明和の初め(1764年〜)頃に京都祇園から始った女性の髪型で、燈籠鬢(透鬢)という燈籠の笠のように髪を大きく張出して髪の内側から透けて見えるようにした髪型が江戸に移って、安永3年〜4年(1774〜75年)に大流行となり、これが20年ほどの間つづいた。このような新しい髪型の流行が新しい箱枕を作り出した。 |
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