39.寝床内気候とは・・・ |
41.発 汗・・・ 真夏日では普通に生活している時でも一日に2?ほどの汗が出る。このような時に激しい運動をすると、汗の量は4〜6?ほどになる。これは発汗量としては最大量に近い。 発汗は体温調節のためで1??の発汗で584カロリーの熱量が消耗される。 発汗には汗腺からの分泌で環境温度の高いときや運動などによって体温が上昇したときに出る汗と、精神機能の刺激や疼痛・窒息などのときに出る汗とがある。前者を温熱性発汗、後者を精神性発汗と呼んでいる。 ┌── 一般皮膚の汗腺 ┌─温熱性発汗中枢─分泌神経┤ 発汗の器官┤ ├── 腋窩の汗腺 └─神経性発汗中枢─分泌神経┤ └── 手掌と足蹠の汗腺 温熱性発汗身体が高い温度に会うと、手掌と足蹠以外の全身に同時に同じ経過の発汗を起こす。汗量は身体の部位で差がある。また発汗経過の特徴として高温に会ってもすぐに発汗するのではなく時間をおいてから徐々に発汗量が増加する。 精神性発汗身体の中でも手掌と足蹠は汗腺の分布密度の多い部分であるが、この部分は高温には反応しないで精神的な刺激にだけ反応して発汗する。 汗の成分 汗は身体のもろもろの分泌液の中では希薄な液体で、固形成分は0.3〜0.8%程度である。また各成分の比率(%)は塩素(0.32)、ナトリウム(0.2)、カリウム(0.02)、カルシウム(0.002)、マグネシウム(0.001)、尿素窒素(0.015)、アミノ酸窒素(0.001)、アンモニア(0.005)、クレアチニン(0.0003)、ブドウ糖(0.002)、乳酸(0.035)である(久野寧「汗の話」から)。 余分な発汗を防ぐためにも、よい睡眠のためにも寝床内の適温は必要であり、季節に応じた寝具の組み合わせは大切である。 |
42.寝 汗・・・ 寝汗は病人がかくとは限らない。子供などが寝ていて髪を濡らすほど汗をかいていることも珍しくはない。 汗の調節は脳の視床下部にある発汗中枢で行われている。この発汗中枢は睡眠中に興奮が高まって発汗させる。これは睡眠中だけではなく日中の運動中にも起こる。 睡眠中の発汗である寝汗は生理的なものといわれている。もちろん病気による発熱の解熱作用での寝汗もあるので、異常な寝汗は要注意である。 発汗の量はノンレム睡眠・レム睡眠のサイクルの中で就寝後の最初のサイクルの時が多い。睡眠深度三〜四の深いノンレム睡眠の時に多く、明け 方の目覚めのころには少なくなる。 |
43.寝床内の温度と湿度の変化・・・ 寝床内温度 寝床の中の温度・湿度ともそのままの状態では室内の温度・湿度と同じである。 入床すると体からの放熱で寝床内の温度は上昇し、これに伴って寝具の温度も上昇する。体からの放熱で供給された熱量と、寝具から排出される熱量が平衡状態になると、寝床内の温度は安定したものとなる。この時の温度は体幹部がふとんに接する中央部近くが最も高く、敷ぶとんが床面に接する部分が最も低温であり温度の変化も遅い。 寝床内湿度 寝床の中の湿度は入床による体熱で寝床内温度が上昇し寝具も加温されるので寝具表面からの一時的な排湿によって寝床内の湿度は上昇する。温度の上昇とともに相対湿度は低下する。温度が一定になると湿度も安定する。 睡眠中に排出した不感蒸泄(水分)は寝具の吸湿透湿作用で寝具外に排出されるが、敷ぶとんの床面側では時間の経過とともに湿度は徐々に上昇する。掛ぶとんの場合は湿度は寝室内の空気の中に放散されるので低湿となる。 相対湿度を絶対湿度(空気中の水蒸気量)に換算すると各部位での差は少ない。 なお寝床内での気流は寝返りなどで一時的に発生するが、安静時では不感気流として上腹上側に垂直気流があるが、身体に平行する気流は少ない。また下肢側部も少ない。肩部では気流の変動がある。 |
44.ふとんの透湿性・・・ 入床後は体からの不感蒸泄や発汗などで寝床内の温度が上昇して水蒸気圧が高まると、水分はふとんわたの繊維間の隙間を通って寝室内の低い水蒸気圧の空気中に向かって移動し排出する。この作用を透湿という。 水分が寝具の外に排出する過程は吸湿、排湿と共に透湿作用の多少が影響する。綿・羊毛・絹などの天然繊維のわたの場合は、繊維に親水性があるので吸湿、透湿、排湿の作用がある。合成繊維のわたの場合は、繊維に親水性が少ないので吸湿よりは透湿によって水分が排出される。繊維の集合体であるふとんわたの場合は、特に繊維密度が透湿性に影響する。つまり密度が粗く空気層(含気率)が多いほど空気の流れ(通気性)もよくなり、透湿性も増大する。密度が多くなるほど含気率は低くなって、空気の流れ も悪くなり、透湿性は低下する。 |
45.快適さの綿わた敷ぶとんと羊毛わた敷ぶとんの比較と室温・・・ 綿わたの敷ぶとんと羊毛わたの敷ぶとんとの比較では平均室温が二十七度C以上では、綿では半数近くの人が熱のこもりを感じているが、羊毛の場合はほとんどの人が熱のこもりを感じていない。室温十七度C以下では羊毛わた敷一枚では寒さを感じる人が多くなるので、綿わた敷ぶとんとの二枚重ねが必要となる。 |
46.快適さの綿わた掛ぶとんと羽毛掛ぶとんの比較と室温・・・ 商品科学研究所が東京、神奈川、千葉、埼玉の家庭を対象とした実態調査では、綿わた掛ぶとんと羽毛掛ぶとんとの比較では、温かいということで全般に羽根ぶとんの方が評価が高い。さらに寝室内の温度差と評価との対比では綿掛ぶとん一枚の時の使用範囲は室温17〜22度Cであり羽根ぶとん一枚の時の使用範囲は15〜20度Cであったと報告されている 寝床内の温・湿度の比較では吸湿性のよい綿わたぶとんの方が寝床内の湿度が低いので暑いと感じている時でもむれを感じないが、羽根ぶとんでは暑いと感じた時は寝床内の温湿度とも綿ぶとんの場合よりも高い。寝床内が快適と感じた人の入床時の室温は夏季では27度Cまでであり、起床時の室温が28.5度C以上では熟睡できない人が増加する。冬季では入床時に快適感があるのは室温12度Cまでで起床時の室温が8度C以下では熟睡できない人が増加する。 冬季には寝具を重ねて使用することで保温するが、重量が増加すると寝心地に影響するので、重すぎる寝具とならないために入床時の室温を22〜27度Cとやや高めにしてを寝具を調整する時の目安の一つとしている。 |
47.綿わた掛ぶとんと羽毛掛ぶとんの寝床内気候・・・ 保温性の綿わた掛ぶとんと羽毛ふとんとの比較では羽毛ふとんがよい。掛ぶとん一枚の室温との対応比較では、綿は室温17〜22度に対して羽毛は15〜20度Cである。湿度では吸湿性のよい綿わた掛ぶとんが羽毛掛ぶとんより低湿なので、寝床内が同温度の時は綿わたの方が暑苦しくない。 商品科学研究所 第3回睡眠環境シンポジュウム(昭和六十二年) |
48.快適な寝具の組み合わせ・・・ 季節ごとの寝室内の温度に対応した個人の快適な寝具の組み合わせについての例として、商品科学研究所の実態調査による報告がある。各人の快適な睡眠環境作りの見直しの一助として紹介する。 |
49.低温やけどに注意・・・ 湯たんぽ、あんか、かいろなどの寝床用の暖房具で、手で触れてもやけどをするような熱でなくても、長時間、直接皮膚に触れていると、普通にやけどをするよりも皮膚の深いところまでやけどをすることがある。これらの寝床内の暖房具の使用では、布、タオルなどで包み、さらに体から離して使用するか、また一定時間経過して寝床内が温まったあとは除くなどの配慮が要る。特に病人の場合などは要注意である。 |