寝 姿

17.寝姿についてのアンケート調査から・・・
健康な人が一晩中寝返りもなく同じ姿勢で寝ていることはないが、自分で多いと思われる寝姿について、札幌市および近郊在住者を対象として調査したことがある。19歳〜80歳までの男子649名、女子518名、計1167名から回答があり、その結果では上を向いて寝る(仰臥姿勢)は46.2%、右側を下にして横に寝る(右下横寝姿勢)35.6%、左側を下にして寝る(左下横寝姿勢)16.7%、下向(やや下向姿勢を含む)1.9%であった。横寝姿勢での左・右下の比較では右下横寝が多く、また左右横寝の合計では上向姿勢よりも多いという結果であった。

18.敷ぶとんの弾性と体重のかかり方・・・
敷ぶとんやマットレスが柔らかいと、ふわふわとした中で気持ちよく眠られるように見えるが、これが全く逆である。柔らか過ぎると安定感がなく、寝にくくて疲労感が残る。
体形として、仰臥姿勢で就寝した時の体圧分布は肩甲部、臀部で大きく、次いで頭部・下肢部であり背の部分は少ない(体圧分布図参照)。
柔らかすぎるふとんやマットレスに寝ると、体圧の大きい肩甲部・臀部の落ち込みが大きいので、自然の状態ではゆるやかなS状になっている体形はW字状となる。
更に沈みこみが大きいと体圧は背部全面に拡がって周囲からの圧力も増大するので寝た時の安定感に欠ける。
これに対して適度な硬さがあり弾性の少ない敷ぶとんの場合では、自然な体形の維持が容易となり沈み込みもないので、体圧は他の体の部分と比べ知覚の鈍い肩甲部・臀部に集中するので安定感が得られる。
19.寝姿と敷ぶとんの弾性・・・
敷ぶとんやマットレスの硬軟が就寝時の体形に影響があることは、体圧の分布との関係で述べているが、この弾性の強弱が寝姿にも影響を与えることを小原二郎氏が実験報告をしている。同氏はマットレスの三層構造を推奨していて、その構造は図のとおりである。
A層は体に面する部分でソフトな感触のあるもの、B層は就寝姿勢を保つ層として固い部分、C層は体圧の衝撃を受けとめる層としている。
a 固いB層があって弾性が少なく、臀部の落ち込まないマットレスの場合
b 固いB層がなく弾性が大きくて、臀部の落ち込むマットレスの場合
c 薄い綿入れの敷ぶとんの場合の三種について睡眠中の寝姿について観察している。
結果は左図下段のとおりである。
aの場合では仰臥姿勢が約45%であるが、bの場合では仰臥姿勢は8%しかなくほとんどが横向きの姿勢である。cの場合は仰臥姿勢が約30%となっている。仰臥姿勢の割合の多いのを寝やすさとして解釈すると、寝具の弾性の強弱は寝やすさを表すものとしている。弾性の強弱は寝姿にも影響するということである。
20.寝姿とベッドの幅・・・
人はそれぞれに寝姿のパターンを持っている。一晩に20〜30回ほどの寝返りをしながら眠り、身心の休息と回復をはかっている。
日常使用しているベッドやふとんを離れて旅行中に寝台車、船、レジャーカーなどで狭いベッドで寝ることがある。
成人が50cm以下の狭すぎるベッドで寝た場合は
★通常ではほぼ仰向け、横向き(少し多い)とも同程度であるが、狭いベッドの幅に応じた寝姿をとるので面積の少ない横向き姿となる。
★ベッドから落ちることを防ぐ緊張感から、眠りが浅くなるので、眠り不足となる。
★寝返りが制限さるので、筋肉疲労の回復が出来ず疲労感が残る。
これらはベッドの幅が狭くなるほど影響は増大する。成人ではベッド幅70cm以上が欲しいところである。
21.ダブルベットでも二人寝では安眠できない・・・
ベット内の各々の専有する部分が狭くなるので、寝姿も制限される。互いが大の字になって寝ることなどはできない。
体格が違うとスプリングマットの沈み具合にも相違ができる。一方が寝返りするとその振動はそのまま相手に伝わるし、掛け布団や毛布の動きもある。一晩に20〜30回の寝返りを互いに繰り返しては安眠できない。
汗かき、冷え性などの体質の相違は寝床の中の保温、湿度にも影響するので同一の寝床で両方が満足するような寝床内気候を保つことは難しい。
互いに我慢がなければ寝られないことになる。
22.寝姿と性格・・・
「目は口ほどに物を言い」ということわざがあるが、他にも「肩をすぼめて・・・」「肩をいからして・・・」「背を丸めて・・・」「腰を低くして・・・」などと体のし
ぐさで意志を表わす言葉はたくさんある。
西洋のことわざに「王様は仰向けに寝、賢者は横向きに寝、金持ちはうつぶせに寝る」というのもあって、寝姿がその人の性格や生活態度に関係があるともいわれている。
「ボデー・ランゲージ」というのも前述と同じように体のしぐさにもの言う能力があるということである。
アメリカ、ニューヨークの精神科医ダンケル博士は寝相がその人の深層心理を表わしているとして、寝相を四つの型に分けてそれぞれの型について説明をしている。
王様型・・・仰向けで大の字になって寝るタイプで、自信家で包容力が大きく開放的な人に多い。
胎児型・・・体を丸くして寝るタイプで母親の体内にある時の型である。依頼心が強く自己防衛型で開放的でない人に多い。
半胎児型・・・横寝のタイプで温和で周囲に適応して多くの人に好まれ、バランスのとれた人に多い。
うつぶせ型・・・下向きに寝るタイプで、保守的で過大な期待をしない。自立心が強く潔癖、時間に正確な人に多いとしている。
寝返りは一晩で20回〜30回が一般的であるから健康人が一晩中同じ姿勢で寝ているということははなはだ稀であるが、その中でも自分で一番多いと思われる寝姿について札幌市のおよび近郊圏でアンケート調査をしたことがある。成人男子649名、成人女子518名、計1167名、調査結果では上向き(仰臥)46.2%、右下寝35.6%、左下寝16.7%、下向き(うつぶせ)1.9%で、左右下寝の合計が51.8%と横寝が多いと答えた人が一番多くあった。
関東地方での成人対象調査でも横寝の方が仰臥より僅かながら多いとの報告もあったので、一般的な傾向と思われる。また健康な子供は大人よりも寝姿の変化が多い。乳児を下向きに寝かせる育児法についてはこれによる利益よりも危険のことを考えると賛成できないと思っている。
23.乳幼児の突然死はうつぶせ寝は仰向けの倍・・・
元気な赤ちゃんが原因不明で突然死する乳幼児突然死症候群(SIDS)について、日本SIDS研究会症例検討委員会が、1994〜1997年3月までの間に出生直後から満2才までの突然死した男児90例、女児54例、計144例について、小児科・法医学・病理学等の専門医が調査したところでは、解剖結果SIDSと診断されたもの男児43例、女児28例の計71例であり、男女比率では3対2、生後2か月〜6か月までが36例と約半数であり、満3か月までは男児は女児の約2倍、就寝体位ではうつぶせが多くて、約3分の2を占めている。
日本では新生児は仰向けに寝かせるのが普通であったが、戦後欧米からのうつぶせ寝の考え方が若い母親から普及し始めた。理由は頭部の形がよくなる、ゲップが出やすいので呼吸障害が防げるなどであったが、1980年代になりSIDSの原因調査で、うつぶせ寝の多いことの調査報告が欧米の各国から発表され、以来うつぶせ寝についての見直しがされている。
24.仰向けの寝姿は平和のシンボル・・・
動物の多くは立ったままか腹ばいになって眠る。仰向けになって眠ることを普通としている動物は人間だけといってよい。しかし飼い猫や動物園での虎やライオンが時折仰向けになって眠るし、アフリカの自然動物園でもライオンが仰向けに寝ているのを見かけている。前者は安全な環境で飼育されていることからであり、後者は地域の中で最強で、他の動物から襲われる心配もなく、しかも集団で休んでいる時である。動物の多くが眠る時に身体の中で最も防御に弱い腹部を下にする姿勢はごく自然といえる。高本健太郎博士の研究「圧反射」によると、皮膚が圧迫されるとその部分の感覚は鈍くなるがこの圧迫された部分と正反対の部分の感覚は鋭敏となるというように、腹部を護り背部を敏感にし、かつ急な動作に対応できる動物の寝姿は理にかなっているといえる。
昔の枕には高いものが多い。女性には大きな日本髪があったし、男性に髷があったので、髪形の保護のためでもあるが横寝姿勢が多いことも高くなった理由の一つである。横寝姿勢の方が非常の時にすぐ起きられるし、身体の側面で外の気配をすばやく感知することが出来るからである。戦国時代の武士にとっては特に必要であった寝姿と思われる。そのように考えると仰向け姿勢の寝姿は平和のシンボルともいえる。
25.寝返りの効用・・・
人は一晩中同じ姿勢で寝ていることはない。レム睡眠の前後には必ず寝返りをしている。一晩の間に20〜30回ほどの寝返りをすることで、一定の姿勢で寝ていることによって起る体圧による血行不良やうっ血を防ぎ、筋肉の緊張をほぐし、筋肉疲労の回復をよくしている。寝返り回数には個人差があるが、個人の回数はほぼ一定している。
敷ぶとんの過度な弾性や、柔らかすぎると体の沈み込むような姿勢となり、寝返りが難しくなるので、敷ぶとんはよい姿勢で寝られるように適度な固さとクッション性が必要となる。
掛ぶとんが重すぎると寝返りが不自由になるし、血圧も上昇するので心臓への負担も増大するので掛ぶとんの適度な重さも必要条件となる。また寝衣、シーツ、掛ぶとんカバーなどは寝返りがし易い、摩擦の少ない布地がよい。冬期間に使われる厚地の寝衣やボーアシーツのような体動時に摩擦の多いものは疲れ易い。
さらに寝返りにおける大きな効用は体を動かすことによって寝床の空気を移動して放熱・放湿効果に寄与していることである。
26.食後のひと休みは右腹を下に・・・
人は活動している時には交感神経が働いており、休んでいるときは副交感神経が支配をしている。
胃の運動は迷走神経という副交感神経が支配をしているので、食後で食べ物が胃の中にある時は、活動したり神経を使ったりすると食べた物の消化を妨げる。食後は気持ちをリラックスさせ、右腹を下になるような姿勢でひと休みをするとよい。
この姿勢をとると胃の出口が下になるので、胃の内容物を容易に腸に送ることができる。高齢者や胃の働きの弱い人などは食べ物が長い時間胃の中に滞りがちなので、このような食後のひと休みは健康によい。「食後の一睡万病丹」ということわざがあるほど、食後の軽いひと休みは万病の薬のような効きめがあるとしている。
ただし、寝る直前の食事は睡眠中に脂肪となって体内に残るので気をつけた方がよい。
右腹を下にする姿勢では心臓が上部になるので圧迫なくよいともいう。左下でも肋骨で保護されているから影響はないと思うが、筆者の寝姿の調査では、横寝の場合は右下が多い。
27.冷たいふとんではなぜ身震いをするのか・・・
今は建物もよくなり、寝具も暖かい。更にいろいろな暖房寝具もあるので、冷たいふとんに入って寝ることは少ないが、私が少年の頃まで育った田舎では冬には外気が零下十度以下になることは珍しくなく、寝室でも零度近くまでになることがある。それでも寝室には暖房がないので、母が湯たんぽを入れてふとんを暖めてくれたり、自分で入れたりしたものである。時折ふとんを暖めない時など、そろそろと冷たいふとんに入ると思わずぶるぶると身震いをしながら、じーっと身をちぢめ、頃合いを見てそろそろと手足を伸ばしたものである。時には思い切り体を動かし、手足をこすったりして体を暖め
たりした。
身震いが起きるのは体が外部からの寒さに対しての防御作用で、筋肉を休みなく伸びちぢみさせることによって発熱させ、体を暖めるからである。冬に暖かい家の中から外に出て冷たい外気に触れた時にも身震いが起きる。小便をしたあと身震いをするのも、放尿による熱の放出を補うためともいわれている。
28.夜寝る前と朝起きた時の身長は・・・
朝起きた時と夜寝る前とでは、身長は夜寝る前の方が2cmほど短いが、平常は身長を朝夕二回測ることはないので気が付かない人が多い。小学生では1.3cm、大学生では1.8cmほどといわれている。これは日中立っている時には体の重力は全部下方に働くので、体を支えている背骨に長時間重力がかかるからである。
背骨には頚椎(7個)・胸椎(12個)・腰椎(5個)・仙椎(5個)・尾椎などがあり、それぞれの骨の間にはゴムのように弾力のある椎間軟骨がある。日中の歩行や活動、更に重い物を持つなどの力が加わって、それぞれの椎間軟骨が僅かづつつぶれた結果その合計分だけ身長が短くなったのである。
夜になって横になり、寝ることによってこの椎間軟骨のつぶれが回復するので元の身長となる。靴は夕方買うとよいというのも日中歩くことによって足が膨らむので、この大きい時に靴を合わせると窮屈にならなくてすむからである。もちろん足の太さも夕方には太くなるが、何れも寝ている間に回復する。横になっただけでも心身が休まり回復するものである。
29.トイレに起きるのは女性が多い・・・
寝たら朝までぐっすり眠って一度もトイレに起きない人も多いが、夜にトイレに起きるのは男性よりも女性が多い。
尿意を感ずるのは男性・女性とも膀胱中に2〜300mlほどの尿がたまった時であるが、これを我慢するとなると膀胱の容積の大きさで差がでてくる。大きさは男性は平均500mlであり、女性は平均420mlである。これと尿道の長さも影響するという。膀胱から尿が出るまでの長さは男性は16〜18cmであり、女性では3〜4cmと短い。
30.いびきはなぜかく・・・
初代世界いびき学会名誉会長であったいびき研究家の耳鼻咽喉科医池松武之亮先生によると「いびきとは睡眠中において上気道またはそれに関与すもの、あるいは分泌物などが、呼吸に伴ってする摩擦音や振動音の総称である」とし、さらに分かり易くいえば「いびきとは睡眠中の上気道から出現する呼吸騒音」であると説明している。鼻から入った空気は鼻孔や咽頭腔を通りながら適度に温められ、湿度も加わり空気中のほこりなども除かれてきれいな空気となって肺に送られる。この時の気道の抵抗力が呼吸音となる。この抵抗力が何かの原因で増大すると呼吸音が大きくなりいびきとなる。普通気道の抵抗力は47%程度である。平常の会話が45〜50ホンなので、いびきの分岐点は30ホン(小さないびき)以上である。抵抗力が80%以上では70ホンの爆音型いびきとなる。浅いノンレム睡眠の時に多い。
いびきの原因 体形・体質・病気・暴飲暴食など原因となるものは多いが、睡眠中の姿勢では仰臥時がいびきをかき易い。いびきをかく人の70%が仰臥姿勢という(池松氏)。これは上気道に関係する筋肉がたるむので軟口蓋(のど近くの柔らかい上あごの部分)や口蓋垂(のどちんこ)が下がり、舌ものどの方へ垂れて気道が狭くなるので、呼吸の抵抗力が増大して気道壁との摩擦音や振動音が大きくなるからである。
枕が高すぎたり、まくらの手前に頭をのせたり、逆にあごを高くするような姿勢、 ベッド・マットレスが柔らかすぎて体が曲がる姿勢、首、ほほ、あごなどを手で押すような姿勢、両手を頭の方へあげたり、頭の上で組んだりするなどいずれも上気道が圧迫されていびきの原因となる。
いびきの予防 基本はいびきの原因となるようなことをしないことである。睡眠時の姿勢が横向きになるように布や書籍などを枕の片端に入れて斜めにする。敷ぶとんの片端に物をいれて斜めに高くして横向き姿勢となるようにする。
いびきの音に反応して音を出したり、振動を起こしたりするいびき防止枕もある。
31.寝ちがいになるのは・・・
朝起きようとして頭を上げたとたん、ズキンと首の後や左右どちらかの側面に激痛があって驚くことがある。首をちょっと動かしても痛くて、しばらくは首を曲げたまま四苦八苦することなど経験された人も多いことと思う。運動などで疲れて不自然な姿勢のまま寝込んでしまったり、枕の高さが合わなかったりした時になりやすい。
睡眠中は筋肉がゆるんでいるので、首を不自然なまま長時間曲げたままでいると、首の一部の筋肉が過度に伸ばされることから起きる症状で、首を動かすと痛いし、首の回りや肩の部分を圧しても激痛がある。痛みから寝ちがいということは分かるし、多くは首をそろそろ動かしながらでもその日の内に治るが、時には数日も続いて湿布や塗り薬の世話になったり、鎮痛剤や、筋弛緩剤など、病院にかかるようなこともある。
枕の高さが合わないと思ったら要注意である。
32.腰 痛
背柱は脊椎(頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙椎、尾椎)がゆるやかなS字状に重ね連なった形で、立った時には体重を支え、運動の衝撃を柔らげ、体を前後、左右に曲げたり、ひねったりの動作が容易にできる構造になっている。この時には腰椎での負担が大きいので、過重な負担がここにかかると腰痛の原因となる。およそ80%ほどの人が生涯に一度は腰痛を経験するといわれているほど多い。特に20代〜40代の働き盛りに多発するといわれている。多くは腰に負担をかけないようにして、安静を守ることで治るが、安静にしていても痛みが進むようであれば、他の原因も考えて病院で受診すべきある。体の深部に感ずる腰痛についても同様である。
敷ふとんが柔らか過ぎると就寝した時に体の重い部分(臀部・肩胛部)が沈んで体形がW字状になる。重い腰部が沈むことで腰部での負担が増加する。この体形での寝返り(一晩に20〜30回)では上半身だけの寝返りとなって腰部での負担が更に増加する。
敷きふとんを硬く(センベイふとん)にすると寝返りも全身で容易に出来、腰の負担も軽減する。柔らかい敷ふとんは特別な場合以外は避けた方がよい。柔らかすぎるベッドの場合は、マットの上にボ−ド板やタタミなどを重ねて下を硬くすることも一方法である。この場合は硬い敷の衝撃を下の柔らかいマットが緩和するので効果的である。
33.夢・・・
人はさまざまな夢をみるし、夢に関心を持っている人も多い。しかし、夢が科学的に研究されるようになったのはフロイドの精神分析からである。その後の睡眠に関する研究が進んでここ20〜30年ほどの間には研究発表も多く、進歩は実に目覚ましいものがある。それでもまだまだ分からないことは多い。
眠りには体の筋肉だけが休んでいる浅い眠りのレム睡眠と筋肉も脳も休んでいる深い眠りのノンレム睡眠とがある。
このレム・ノンレムのサイクルは一晩に5〜6回ある。夢はこのレム睡眠の時が多い。
5〜6回現われるレム睡眠の合計は1〜2時間ほどになるが、そのつど夢を見てはいるが、多くは目覚めた時には忘れている。
夢の内容がつじつまが合わず、支離滅裂なのはレム睡眠の時には脳の活動はあるものの完全な目覚めの時とは異なって寝ぼけた状態にあるからである。夢では脳に蓄えられた過去の経験や知識などが何かの刺激によって甦るが体内の感覚や外部からの刺激の種類などによっていろいろな形で現われる。
34.よだれ(唾液)・・・
唾液(つば・よだれ)は食事をするとその刺激で顎下腺(下顎部分にあって漿液性・粘液性の唾液を分泌するが、主に漿液性の唾液を分泌する)、舌下腺(舌の下にあって漿液性・粘液性の唾液を分泌するが、主に粘液性の唾液を分泌する)、耳下腺(耳の下にあって漿液性の唾液を分泌する)、小口腔腺(くちびるなど口腔粘膜にあって粘液性の唾液を分泌する)などから分泌される。またおいしそうな食事を見たり匂いをかいでも条件反射で唾液は分泌されるが、食事のこと以外の時でも唾液が分泌されている。
日当たりのよい縁側などで、うつらうつらと気持ちよく居眠りをしながらよだれ(唾液)をだらーと垂らしている風景をみることがある。このようなことは電車の中や寝床の中でも見られることである。これは何の緊張もなく全くリラックスした状態の時で頬の筋肉もゆるんで口から溢れた唾液が出ている状態の時である。この食事以外のリラックスした状態の時に分泌される唾液は粘りが少なく漿液性唾液であり、緊張している状態の時には口の中が乾いて粘りの多い粘液性の唾液である。
唾液は無色・無臭・無味で、一日に分泌される唾液の量は成人で1〜1.5Lほどであるが、体調によって分泌される量が変化することで体内の水分が調節されている。唾液の水分は腸で吸収されて体内に戻され有効に利用されている。
唾液にはいろいろな成分が含まれていて重要な役割を果たしている。粘っこい成分のムチンは食物と混ざって食道の通りをよくし、プチリアンは糖質消化酵素として働き、パロチンは血中カルシウムや糖・蛋白質の代謝に寄与しているなど、私たちの健康維持に不可分な働きをしている。成長期の赤ちゃんはいつもよだれを垂らしている。成人でも唾液の多いことは老化を防ぎ若さを保っているといえる。
35.歯ぎしり(ブラキシズム)・・・
起きているときでも歯ぎしりはあるが、睡眠中では睡眠深度の浅いレム睡眠に時々見られる現象である。本人が気付かない程度のものが多く、また子供のころにあってもほとんどが成長とともになくなる。
型としてはグライデング(歯をこすり合わせる)、クレンチング(歯をくいしばる)タッピング(上下の顎をカチカチと噛み合わせる)などがある。原因については明確ではないが、精神的原因による緊張、無意識な中に起きる不快感などで咀嚼筋や顎関節が歯や歯の周囲組織と関連して発生するといわれている。
ブラキシズムで過剰な力が口腔内で作用していると口腔内の環境機構がくずれて、神経、筋の障害となる。習慣性になると起床時の咀嚼筋の疲労感、頭痛、顎部ー頭部の関連痛などの誘因となる。虫歯の人よりは歯並びの悪い人に多いという。
対策としては
★歯科医院で咬合の異常を診てもらう。
★精神的因子となる原因の除去。
★安静時には口は閉じても上下の歯が接触しないようにするなどが言われている。

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