(4) 防虫性
1)木材の香りの防虫性
各種木材のニオイに対するダニの回避行動について安藤善朗の実験報告(日本公衛誌40巻7号平成5年)がある。
○実験方法
供試木材製材加工したヒノキ、マツ(アカマツ)、スギ、ラワン(メンチラ)、スプルス(シトカトウヒ)の木屑ダニケナガコナダニ、コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ
実験・白色不透明のプラスチック製の観察台(タテ20?、ヨコ40?)の中央部に線を引き、右側の中心部に木屑0.02gを置き、中央部の線上にダニ25匹を放置して右側と左側領域おけるダニの経時的な分布状態を調べた。
雌雄別に実施温度19〜23℃、室内湿度26〜60%、観察台上は加湿器を使用して湿度約80%とする。
成績・?木材のニオイ種類別のダニ忌避作用はヒノキ、マツ、スギは強く、ラワン、スプルスは弱い。
?ヒョウダニ類はケナガコナダニよりも木材のニオイに対して忌避行動が強い。
?雌雄間では有意な差は認められない。
表28 各種木材に対するダニの忌避行動経時的観察報告(安藤善朗)
これらの相違は各々の木材に含有する成分の相違による。
■供試木材の含有成分 |
ヒノキ |
β−ピネン、カンファー、カジネン、カジノール、
ヒノキオールなど |
ス ギ |
β−オイデスモール、カジネン、α−ピネン、シペテン、スギオールなど |
マツ(アカマツ) |
α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、カンファー、
カジネンなど |
ラワン |
シネオール、α,βーツョン、シトロラール、
カジネンなど |
スプルス
(シトカトウヒ) |
アセトバニリン、バニリン、バニリルアルコール、
カラジェン、オクチルフタレートなど |
カンファー、シネオールは防虫剤として利用されている。
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