【生薬枕】
最近になって生薬枕が注目を集めているが、歴史が古い割には普及も研究も少ないようである。中国では前漢の武帝(前141〜前87年在位)の時代からの長い歴史があり、生薬枕の種類も使用も多い。
日本での生薬枕は生薬と共に中国によるところが多い。
キク枕(NO.2106) 平安時代に中国から伝来した風習で、キク花を直接枕の側布袋に詰めたり、目の細い小枕用の絹布側にキク花を詰めこれを芯(No.2113)として他の詰め物と共に入れたりする(生薬としての効果など、詰め物、生薬の項参照)。
ショウブ枕 キク花と同時代に中国から伝来した風習で、日本ではショウブの茎葉を15〜20cmほどに切り 揃えて束ねて枕とした。ショウブは「尚武」に通ずることから男子の出世を願って、端午の節句の夜にはショ ウブの茎葉を紙に包み、これを枕の下に敷いて寝る風習があった。
その他ヒノキ(No.2102〜2104)、アスナロ、木香(No.2105)、油柑葉(No.2107)などの芳香物質や生薬、混合生薬(No.2108,2109,2111,2112)、ソバがらなどの一般詰め物との混合、アズキ(No.2101)、イグサ芯(No.2110)などさまざまなものがある(詰め物、生薬枕の項参照)。
現代中国の生薬枕
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内蒙古自治区呼和浩持市福黄中医薬保健制品厂
「睡眠中に体温によって枕の中の有効成分をゆっくり発散させ、臭覚、皮膚、針灸のつば、経絡や他の感覚器を通じて臓器、血管、頭脳の働きや血液の循環をよくし、新陳代謝を促進して全身の活力を回復することで病気の予防と治療に役立たせる。呼和浩特市福黄中医(中国とモンゴル医)研究所の黄恵郷と子息の黄海超氏が配合した外治漢方薬・・・」[漢方学外治法による病気の予防に関する保健用品シリーズ説明書より筆者要約]
黄氏老年降圧枕(写真2109)、黄氏青年保健枕、黄氏ヰ薬安眠健脳枕(黄氏漢方安眠健脳枕)、黄氏中薬玉容枕(黄氏漢方玉容枕)、黄氏中薬保胎優生枕(黄氏漢方保胎優生枕)、黄氏中薬幼児枕、黄氏中薬児童枕などがある。詳細は「枕の博物誌」(白崎繁仁)。 |
2.上海中医学院、上海市中医薬研究院、研制抗衰老薬枕(写真2111)
3.中国山東医科大学漢方医薬研究室、同大学付属医院による薬草枕
4.中国成都中医学院南部中薬保健用品廠の製品百歳保健枕(写真2108) その他各種のものがある。
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