【木 枕】
 木枕は1個の木又は継ぎ合せて1個にした木を加工した枕である。

 初期の丸太を切取っただけの簡単なものから江戸時代にみられるような手の込んだ撥枕まで種類が多い。江戸時代では撥枕は箱枕と共に髪型の保護もあって髷の大きい武士や日本髪の女性に広く使われたので、髷の流行と共に、高い、低い、細い、太いなどさまざまな枕が作られた。これにつけた“くくり小枕”についても平ら、太い、細いなどの変化があった。また安土形箱枕に見られるような家紋入りの撥形枕も多い。

 丸木形(丸木枕、丸太引切枕、丸太枕)(No.5)、半丸木形(半丸枕、半切枕)(No.3)、臼形(臼形枕、臼枕)(No.4)、鼓形(鼓形枕、元禄枕)(No.16)、豆形(豆形枕)(No.17,18)、角形(角 枕、方枕、六安枕)(No.8,9,10,11,19,22,23など)、かまぼこ形(No.1,2,14など)、半月形(半円枕、半月枕)(No.6,7など)、趣味の枕(N0.15,20,21)、撥形(撥枕、撥形枕、きぬた枕、御守殿枕)(No.24〜57)、安土形(安土形枕、朶枕、射朶枕)(No.12)、三角形(坂枕)、長枕(多人数用)などがあり、それぞれの形の中でも平底、船底、底かど角型、丸型など改良されたさまざまな型がある。

 主な材質ではキリ、ケヤキ、スギ、ホウ、アスナロ(ヒバ)、ヒノキ、カシワ、マツ、ツゲ、クスノキ、クワなど種類は多い。また木枕はヒノキ枕、キリ枕、スギ枕などと材質でもよばれる。

定火消、大槌で丸太長枕をたたきガエンを起こす
出典「風俗画報」179号より 明治31年画

家紋(劔かたばみ)入木枕、
撥形船底枕と衣装箱・髪飾 明治初期

No.1

No.2

No.3

No.4

No.5

No.6

No.7

No.8

No.9

No.10

No.11

No.12

No.13

No.14

No.15

No.15

No.16

No.17

No.18

No.19

No.20

No.21

出典「七十一番歌合」群書類従巻五百三